mayu-dokusyo’s blog

読書感想文公開用ブログ。ちゃんとした大人の、考察も含めたものにする予定です。

【1冊目】こころ/夏目漱石 第4週(終)

なんとしても、今回で読み切って
キリよく次の本に進もうと思い、
1日で100ページ以上を読んだ。
今まで1日10ページだったのに。

 

そして、奇しくも今回の内容は
中学生(?)のころの
国語の教科書に
抜粋されていた箇所だった。

 

当時のお子ちゃま脳だった私には
衝撃的過ぎて、
Kの死に様がリアルに映像として
想像できるほど。

そして読み終えた今、
最初ほどの衝撃は無かったが
私の記憶が正確だったことが証明され、
新たな記憶として
上書き保存されることとなった。

 

読んだ範囲は
下 先生と遺書 (406~570ページ)。

 

Kと先生と奥さんと娘さん。
奇妙な4人の生活の中で
Kはとうとう先生に
娘さんへの切ない恋を告白した。

しかしKは寺の生まれであり、
今までの人生そのものが修行のようであり
今後もその予定で生きていたので

娘さんへの恋に走るか
宗教・思想に人生をかけるのかで
悩んでいた。

 

先生は先生で、突然のKからの
自白に驚いてショックを受けていた。
そしてKの真面目さ・素直さにつけこみ
Kを出し抜いて奥さんに対し
「娘さんをください」と言ってしまった。

そして結婚が決まり、
Kが自殺し、落ち着いてから結婚。
娘さんは晴れて先生の奥さんとなった。

 

この本を読み始めてから
長らくの疑問だったことのうち、
とうとう

☑先生と奥さんと「私」は
 その後どうなったのか
☑「私」の父や家族、遺産の話は?

この2点が不明なままだった。

まぁ、先生はやはり亡くなったのだろう。
そして奥さんは悲しみに暮れながらも
生活に困ることなく生涯を全うするのだろう。

「私」の父も亡くなるのだろうし、
遺産の分配もそれなりにするのだろう。

 

しかし知りたいのは
先生の遺体を「私」が発見するのか、
それとも奥さんか女中さんが発見して
葬儀まで終えているのか、
そしてそのときの
「私」と奥さんとのやりとり。

つまり、私はもっと夏目漱石の世界に
浸っていたかったのだ。

 

印象に残ったのは、
先生はあくまでも奥さんのことを
深く深く愛していたということ。

Kが死んでいる部屋も見せなかったし
Kの亡くなった理由が
奥さんを取り合っていたことに
あるかもしれないと一切言わなかった。

そして、自分を騙した叔父を軽蔑していたのに
自分自身もまた叔父と同じだったのだという
絶望感。

せっかく愛する人と結婚できたのに
自分への絶望と奥さんへの愛とのはざまで
先生はすっかり暗くなってしまった。

 

「恋愛は罪悪です」


今なら、あのとき「私」に向かって
言った先生のセリフが痛いほど分かる。

 

こうしてつらつらと書いていても、
「あのときこうしていれば」と
登場人物になりきって考えてしまうのは
夏目漱石の文才によるものだろうか。

 

私はどうだろうか。
私という人間が主人公の物語、
「いま」を振り返って
後悔しないように生きられているだろうか。

改めて考え直すキッカケとなった。

 

この本を読めて良かった。
今回、読書する機会を
与えてくださったYさんに、
この場をお借りして御礼申し上げます。