mayu-dokusyo’s blog

読書感想文公開用ブログ。ちゃんとした大人の、考察も含めたものにする予定です。

【2冊目】坊ちゃん/夏目漱石 第1週

前回読んだ「こころ」から
夏目漱石の余韻から抜けられず、
むしろ彼の作品に
もっと触れていたかったため、
吾輩は猫である」とで悩んだものの
二者択一でこちらを選んだ。

 

読んだ範囲は
5ページ~66ページまで。

 

「親譲りの無鉄砲で小供の時から
 損ばかりしている。」
から始まる有名小説。

 

両親からまともに愛された記憶はなく
兄とも仲が悪い。
唯一の味方であったのは
もとは名家の生まれである
女中さん・清(キヨ)だけだった。

 

母が病に倒れ、数年後に父も亡くなり
就職先の決まっていた兄は
「おれ(坊ちゃん)」に親の遺産600円を渡し
そのまま今生の別れとなった。

「おれ」は兄から貰った600円で
物理学校に通い、校長から
四国の中学校での数学教師を口利きされ
寂しがる清を置いて単身、四国へ赴任。

 

校長は狸、教頭は赤シャツ、
同じ数学の主任教師には山嵐という
あだ名をつけ、だんだんと明らかになる
教育現場の矛盾が描かれていく。

 

 

最初、「おれ」の性格というのが
いまいち読み取れず、
清の言う「あなたは真っ直ぐで、良いご気性だ。」
が理解できなかったが、
「おれ」が中学に赴任したあたりから
徐々にその気性も読み取れるようになった。


あだ名をつけたり、
天ぷらそば4杯や団子2皿、温泉遊泳などから
最初の淡々とした語り口とは違う
「おれ」の人間味が身近に感じ取れ、
共感を経て「おれ」と共に物語を追体験しているようだった。

 

ここまでのストーリーで一番面白いと思ったのが
山嵐に紹介された下宿先にて、

「お茶を入れましょう」と言いつつ勝手に「おれ」の
お茶を入れ飲み始める主人を見て
「この様子では留守中も勝手にお茶を入れましょうを
 一人で履行しているかも知れない。」
と思ったシーン。

主人の勝手さと冷静なツッコミに、
思わずふふっと笑ってしまった。

 

この主人は骨董好きで、
毎日仕事帰りの「おれ」に対して
例のお茶を入れましょうを履行しつつ
手を変え品を変え、
骨董を売りつけに来るのも参ってしまう。
こうして読んでいるだけでも嫌なのだから、
当の坊ちゃんはよっぽど嫌だっただろう。

 

授業を受け持つ教室でも、
黒板に「てんぷら」だの「団子」だのを
いじる内容が落書きされている。

昨今の(私のころを含む)学生とは少し違う、
陰湿な「よそ者いじめ」の気配がある。

 

この後、坊ちゃんはどのように
こういった手荒い歓迎を跳ね飛ばしていくのか。

 

坊ちゃんの冷静で的確な所感には
現代でも学ぶべき点がたくさんある。

そういった点にも着目しつつ、
読み進めていこうと思う。